aceite de oliva (1) – オリーブオイル (1) エピソード編

ATLAS ILUSTRADO DEL ACEITE de OLIVA (susaneta 2011)
ATLAS ILUSTRADO DEL ACEITE de OLIVA (susaneta 2011)

 

オリーブオイルと言えばイタリア ― そう刷り込まれたのは、最先端の「イタリアンデザート」としてティラミスが日本を席巻したバブル真っ只中の1990年頃だったように思う。

イタリア料理は「イタ飯(イタメシ)」と呼ばれ、ものすごく身近なジャンルとなり、外食と言えばイタリアン的な時代の中、家でもオリーブオイルを使い始めたバブル世代の私は

オリーブオイルイタリア

と信じて疑わなくなっていた。

 

時は流れて1998年。
初めてのスペイン長期滞在地アンダルシアで、オリーブオイルの洗礼を受ける。

トーストにオリーブオイル。
スポンジケーキ作りにオリーブオイル。
目玉焼きはオリーブオイルの中で泳ぎ、ベシャメルソースもオリーブオイルで作っちゃう徹底ぶりで、グリーンの液体がたぷたぷしている5リットル容器が台所に鎮座する。

ちょっと値の張るイタリアのオリーブオイルをちまちま使っていた日本でのオリーブオイル生活は完全に塗り替えられ

オリーブオイルペイ

と、舌が記憶するようになっていった。

 

そして半年。

スペイン北部サンタンデールという街に移り住んだ。
若くてかわいい Trini (トリニィ)という女性との共同生活がスタートし、一緒に朝ごはんを食べていた時のこと。

私   「オリーブオイルある?」

Trini 「あるけど、何に使うの?」

私   「えっ?トーストにかけるんだけど」

Trini 「何言ってるのぉ?トーストにはバターでしょう。あなたはホントにアンダルシアに染まっちゃってるのねぇ」

と一笑に付された時、高校時代に地理学を嫌いになった授業風景がフラッシュバックした。

 

アメリカでは麦の栽培が盛んで、○○地域では大麦が、××地域では小麦が生産されています。ココ、重要。テストに出るよ。そして、春小麦と冬小麦が…

 

その時思ったのだ。大麦だろうと小麦だろうと関係ないではないか。全部麦で。
春?冬?コレ、覚えて意味あるの???

 

しかし。

意味はあった。

その土地で生産される食物は、その土地で暮らす人々の食生活と密接に関係していて、料理や味覚を決定する重要な要素だったのだ。

酪農が盛んなスペイン北部ではバターが、オリーブ産地の南部ではオリーブオイルが、パンとともに食される。文化でもあり歴史でもあるんだ…。

と雷に打たれた私は、バターを塗り塗りしている Trini の横で、パンにかけたオリーブオイルをしみじみ味わった。
おいしい。けど、アンダルシアで食べる方がもっとおいしい…。

 

でも、浴びるようにオリーブオイルを消費しているスペインよりも、イタリアの方が有名なのはなぜなのだろう。

そんな質問をスペイン人に投げかけると、衝撃の一言が。

「イタリア産って書いてあっても、あれ、中身はスペインのオリーブオイルだから」

えぇええぇえっっ!!!

続く…

 

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『料理のコツ』 – trucos de cocina

料理のコツ

タイトル  料理のコツ

著者    秋山 徳蔵

出版社   中公文庫

初版    2015年9月25日

 

 

2015年4月~7月放映 TBS ドラマ『天皇の料理番』のモデル、秋山徳蔵の書。

表紙のデザインがいい!
そして贈序を寄せているのが吉川英治ときている。この本、タダモノではない。

もともと有紀書房より 1959年に発行されたものの復刻版らしい。
秋山徳蔵 70歳の時の著書となる。

あとがきに

まだまだ書きたいことは山ほどあるのだが(中略)、皇太子さまのご婚儀も間近に迫り、身辺多忙を極めるようになったので、このへんでペンを置く。

とあるので、七十を超えてなお天皇家のために仕えていたことがわかる。
実際、現役引退は84歳。その2年後、86歳を目前に他界している。

これ、レシピ本ではない。
その前段階、おいしい料理を作るための基礎知識を「料理のコツ」として”家庭の奥さんや娘さんたち”に惜しみなく教えてくれる虎の巻だ。

徳蔵さん直伝 料理のコツ五則

1. 材料の選択: いい材料を選択すれば、その料理はすでに半ば成功
2. 自然に従う: 材料を最もよく生かす手の加えかたをする
3. 間を大切にする: 手順をよくする。料理に追っかけられてはいけない
4. 道具をととのえる: 必要な道具を揃え、手入れをし、いつでも使えるようにととのえる
5. 三加減: 火加減、味加減、盛り加減

この五則のうち、特に材料の選択にほとんどのページを割いている。
とはいえ堅苦しい料理論は見当たらない。

日本のみならず、渡仏後フランス女性にまじりマルシェで食材を吟味する観察眼鋭い徳蔵さんが登場し、クスッと笑える場面もあり、とにかく読んでいて心地がいい。

そんな人間味あふれる徳蔵さんが考える究極の「料理のこコツ」は、次の一文に集約される。

材料の選択から始まって、最後の盛りつけにいたるまで細心の「注意」を払い、瞬時も怠慢することなく、一挙手一投足もおろそかにすることのない心構え

この心構えを保ちつつ、84歳まで料理に命を懸けた徳蔵さん、スゴイよ…。

読後、自分はどんなおばあちゃんになるのかが、少しだけ楽しみにもなる、清々しい一冊だ。

 

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