甘い物の苦手な私を2ヶ月で5kg増の道に至らしめた主犯格、それが Bizcocho de yogur – ヨーグルトのビスコッチョ(スポンジケーキ)だ。
初めてのホームステイ。一日三食白米三昧、純日本人の私が、突然豆やジャガイモ、少量のパンが主食の、いわば「炭水化物抜きダイエット」に近い状態に追い込まれ、体と脳は極端に不足した糖を欲したのだろう。ステイ先の Pilar ピラールが私のために作ってくれたビスコッチョを義理立てしてほんの少し口にすると – 止まらなくなった。2日でワンホールを平らげるようになり、三十路にして背中に肉がつくたびに痛みを感じるほどの急成長期を迎えた。
甘い物の苦手な私を虜にしたピラールのビスコッチョ。それはなんともスペインらしい、大ざっぱなレシピで作られていた。
ピラールは台所に立つと、冷蔵庫からダノンのレモンヨーグルトをワンパック取り出し、ボールに卵、ヨーグルトを入れ、そのヨーグルトのパックを計量カップがわりに砂糖、オリーブオイル、薄力粉をドバドバと投入していく。すりきり一杯でもなければ、ふるいに通すわけでもない。泡立て器で無造作にカシャカシャ混ぜ、型に流し込んで焼くだけ。
ケーキは計量が命、卵はよく泡立てるのが鉄則、と思っていた私にはかなりの衝撃だったが、食べてみると甘さ控えめ、素朴で飽きのこない味なのだ。
あれから15年。突然、あのピラールのビスコッチョが無性に食べてくなり、久しぶりにピラールに連絡を取ってレシピをきいてみた。
【ingredientes】 | 【材料】 |
1 yogur de limón | レモンヨーグルト 1パック |
Aceite de oliva (1 vaso de yogur) | オリーブオイル(ヨーグルトカップ 1) |
Harina (3 vasos de yogur) | 薄力粉(ヨーグルトカップ 3) |
Azúcar (2 vasos de yogur) | 砂糖(ヨーグルトカップ 2) |
1 sobre de levadura en polvo | ベーキングパウダー 1袋 |
3 huevos | 卵 3個 |
Piel de un limón rallada | レモンの皮すりおろし 1個分 |
早速買い出しに出かけると、売り場でいくつかの疑問が。
まず、ダノンのレモンヨーグルトがない。みかんやイチゴ味はあるのに。しかもワンパックの大きさがスペインのよりも小さい気がする。そしてベーキングパウダー。ピラールの使っていたあの小袋、一体何グラム入りだったんだろう…。
懐かしのビスコッチョを再現するには、もう少しリサーチが必要だ。
“Bizcocho de yogur (1) – ヨーグルトのビスコッチョ (1) エピソード編” への1件のフィードバック
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